ひとつの田中くんのこと。シューゲイザー俺。

不謹慎？　わからないけどここに書く。

昨日、田中君がなくなったと連絡がきた。

文字にすると、また泣ける。

夜のお通夜までわたしは仕事をしなければいけないのだけれど

社会人だって泣くし、悲しむ。

 

田中君は、学生時代のサークルの副幹事長。

つんつん尖ってクールなやつだったのに

いい彼女ができてからすっかり丸くなった。

10年付き合ったあと、数ヶ月前に結婚したばかりだった。

 

がんだったと初めて聞いた。

一度手術してよくなったから、友人の誰にも言わずにいたら

容体が急変していきなりなくなった。

連絡ないのは、新婚生活でいそがしいのだと思い込んでいた。

生まれて初めて実家を出る、洗濯の仕方も知らないと

最後に会った時、そう言っていたから。

 

田中君は、やなところが沢山あった。

いいところも沢山あった。

ピンクが似合った。

 

田中君は、私の文章をずっと信じてくれた。

大きな出版社に就職した後は、いつもいつも、

やまきょうの本を出版するのが俺の夢と言っていた。

翻訳でもいい、とりあえず一本書け、今年は出そう、俺が売ると毎年言っていた。

無条件で自分の才能を信じてくれる人は、あまりいない。

私はぜんぜん、彼の言葉を聞いてなかった。

 

今夜が来なければいいと思う。

これから7日間だけ、彼のことを書き残したい。

日記では届かない気がして、いつも彼が見ていたここにかく。