なまりのなかで

去年クリスマス会をやろうと言っていたのに風邪でダウンし、

ケーキを食べ損ねた自転車仲間のおひとりが、ケーキを買ってくれるというのです。

スペイサイドに行きました。

大きいケーキがありました。

 

なぜロウソク。

 

 

となりの人に誕生日なの、と聞かれたので違いますと言いました。

あらじゃあクリスマスと聞かれ、違いますと言いました。

でもいいわねお付き合いしていると、と言われたので

ふたり、首をそろえて振りました。

 

なにしろ8つも違います。

彼は私の恋愛を知っていますし、私も彼の恋愛を知っています。

3人好きな人がいて3人とも脈なしだとか、もうおもしろい話ばかりです。

いつも、どうしてアドバイスくれないの、と聞かれますが

アドバイスはしないです。

 

飽きるほど2人で食べてもまだケーキがある幸せ。

絵本の主人公になった気分です。

シンプルなストーリー、ウールや暖炉や晴れた空、輝く星、温かな息づかい、

そんなものにあふれて最後はかならずハッピーエンドの、たくさんあるお話しの一つ。

明日はイブです。

やさしい人に会いにきました

ローリーとクリスとかっちゃんとタイチョウと

スペイサイドの12周年のお祭りに行きました。

 

記念日なので珍しいウイスキーが大変安くなってました。

みんなの顔が赤くなって、しばらくたってから、タイチョウが

「今日よんでもらってよかったです、今日誕生日なんです」

といいました。

かっちゃんにこづかれていました。

（画像はイメージです）

 

ローリーは、ほんとはローリーではありません。本人はそう繰り返し主張します。

ロー、のあとがモニョモニョと続くのですが、わたしにはよく聞き取れないのでローリーと呼んでいます。

無理やり言うとローレライとなるので、無理はしません。

 

ローリーは腹が立つことがたくさんあるようです。

ガイジンが、ガイジンというだけでモテるのが腹が立ちます。

プリンストン大学の学生はみんなお金持ちで鼻もちならないと腹を立てます。

アメリカ東海岸のカリフォルニアだかどこだかは、みんな悪い人のイメージがあり「六本木みたい」と腹を立てます。

でもすべて、本気で腹を立ててはいません。

MOMAが好きなローリーです。

 

クリスはローリーと仲良しです。

美術が専攻です、ときこえ大喜びした私に申し訳なさそうに

「ビジネスです」と訂正しました。

 

クリスはかっちゃんに、趣味は何ですか、と聞いていました。

映画が好きでよく見に行きます、とかっちゃんは答えました。

ちょっと遠くで二人は話していたので、続きは聞こえなかったのですが

私はクリスの好きな映画が気になりました。

 

ガーデンプレイスが好き、とローリーとタイチョウと私の意見が一致しました。

東京で一番、ガーデンプレイスはボストンに似ているとローリーは断言しました。

私はボストンも、まだ言ったことがない癖に好きなので

やっぱりそうですか、と知った顔をして言いました。

夜のもて来し夏だから

ナビスコカップをサッカーバーでみようと誘われ、自由が丘で待ち合わせました。

会社が終わってから向かいます。
表参道まできたところで、試合を見れる店がないから恵比寿で、と行き先が変更になりました。

自分は人をふりまわすくせに、人に振り回されるとすぐにやる気がなくなってしまうワタシは

しょんぼりしながら恵比寿へ。

恵比寿についたところで携帯をみると、恵比寿にもなかったので大崎へと指示メールがまた、入っていました。

その都度丁寧に地図を添付してくれ、こまめに連絡をくれるのですが

いかんせん、自転車なので恵比寿から大崎まではそうそう簡単に移動できません。

めんどくさくなってやめてしまいました。

 

自由が丘へ帰り、サラダのレシピ本を1冊と、野菜料理のレシピ本を1冊かって

スペイサイドウェイにいきました。

汗みどろで手袋はめてサングラスして、自転車に乗る時のタンクトップとハーフパンツのまま店内に入ると

ウィスキーの権化、みたいな偉いスコットランド人が何人も来ていました。

オールドボトルがたくさん並んでいました。

イベントだったようです。

お化粧もせず、ひとりカジュアルすぎる自分はたいへん恥ずかしい思いをしましたが

常連のみなさんもお店のスタッフさんもいつもの通りthoughtfulでadmirableなのでした。

 

スペアリブの煮込みと夏野菜3種盛り、それから久しぶりなのでウィスキーも少し頼みました。

グレンゴーインとマッカラン、ロングモーンをちょっとづついただきました。

でもどれもそんなにおいしくなかった。どれも似たような紙の味。ロングモーンだけ少しユリの香りがああったのだけれど、はかないものでした。

体調が悪かったのかも。

 

かおりさん、つださんとも久しぶりにお話ができ

ぜんぜん久しぶりじゃないサミルさんともお話ができ

サッカーを見終わった、くだんの友達も無事合流し

良い夜でした。

ワタシの好きなW. H. オーデンの詩のような夜でした。

 

「今日は僕たち、顔をあげて同じほうを見つめている。

おたがい前より近くはないにしてもね。

夜は、」

 

とそこまで思い出して、忘れました。

夜は●●を運んでくるんだ、とこの詩はつづくのですが

一体なにを運んでくるのだったか。

接客業のこと。

基本的に、いつも同じお店を利用するほうです。

レストランも美容院も自転車屋さんも服屋さんも。

よく飽きないな、と自分で思いつつ、スペイサイドウェイなど、通い始めて10年になろうとしています。

 

もちろん「自分の希望の品が何でもいつでも用意されているお店」はありません。

たとえば、その美容院のトリートメントは自分の髪質に一番あうアレではない、というような場合もあります。

妥協するか、トリートメントだけ他のお店に行くか、というところでいつも

わたしは他のお店にいく選択肢を選べません。

安心できる場所でしか自分のことをまかせたくないと思ってしまうのです。

もっというと、自分のことをよく知っている専門家がコーディネートしてくれるのが

いちばん間違いがない、と思っています。

だから、お客さんの自分が信頼したとき、それに答えてくれるお店がすきです。

スペイサイドが好きなのは、価格がリーズナブルでご飯がおいしいだけじゃなくて

お客さんに対するsensibleでthoughtfulな心遣いからです。

こんばんは、と入ったときにその日の気分と体調を察してくれます。

体調が悪い時はいきなり熱い紅茶が出てきます。

面白いといった本をいつのまにかきちんと読んでいます。

二の腕をさすっていると冷房を切ってくれます。

店員さんは私のプライベートはあまり知りませんが、

私が嫌いな人に対してするしぐさ、しんどい時のリアクション、好きな食べ物、これまでに飲んだウィスキーなどを忘れたことがありません。

お客さん一人一人にこうした気配りをつづけるのは、ほんとうに大変なことです。

一ヶ月に1日しか休みを取らず、ストイックにそのレベルの仕事を維持してくれる

店長さんを私は尊敬しています。

 
 

飲食業は欧米と比べ、日本では地位が低いんですよ、底辺ですとご自分では笑っていらっしゃいますが

職業に貴賎なしです。どんな仕事でも、一生懸命にやって抜きんでている人は尊敬されるべきと思います。

スコッチ記録２

最近ご無沙汰しているので、以前のものをアップしておきます


グレンモーレンジ（glenmorangie）
前回ご紹介の通り、ゲール語で「静寂の谷」です。

シェリーでなく、シャトーマルゴーの樽でフィニッシュ。
見た目も華やかで、ワインが好きな先生方に教えて差し上げたいと思いました。
1987年オールドボトル。3551本のうち２２１４番目。

これを出してくれた時のセンネさんのうれしげな顔を覚えています。




グレンファークラスのオールドボトル。
写真の女性はマリア・スチュワートだそうです。
山岡さんの試飲会で。目白田中屋さん。