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台風の日、久しぶりに地下鉄を利用しました。
ホームへ続く階段を下りていると、中腰になったスーツ姿の男性とすれちがいました。
目で追うとその人は、中腰のままゆっくりと1段登っては2段降り、
何かを探しているようでした。
 
つられて立ち止まると、すぐにわかりました。
赤トンボが1匹いるのでした。
地面すれすれを飛びながら一段分、ようやくのぼったかと思うと
強く吹き下ろす風にあおられ、さきより一層低いところまでたたきつけるように落とされます。
荒天のせいで、外から地下鉄に入り込む風はいつもより一層きつく激しいのです。
トンボはどんどん落ちていき、スーツの男性は中腰のまま、
そのトンボを追いかけてじりじり、階段を下りていきます。
 
私のほか、誰も立ち止まる人はいません。
男性がとらえようとするたび、トンボはいっそう大きく飛んで
強い風を真っ向から受け、さらに下に落ちていきます。
繰り返すうち、男性の手をかわしたトンボは、いきなり、つっと進路をかえて、
そのままホームに降りて行き、線路が延びる真っ暗な地下鉄の奥へ消えていってしまいました。
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先週の満月は秋らしい見事なものでした。三渓園の観月会に行きそこねました。
不謹慎でしょうが、台風の前に月が満ちてよかったです。
 
そう、先週は弟の誕生日でした。
プレゼントを選ぼうと、店に入るまえ、
弟は空をみて、今年も月が見れてよかったです、といいました。
追って見上げると満月がかかっていました。
去年の誕生日も満月の頃お祝いしましたが、その時は火星のような真っ赤な月でした。
今年の月は青白く、モランディの静物画をほうふつとさせました。
 
その日は2人とも、少し冷たい空気でした。
感情過多な私は理由のわからない波にとらわれて少しいらいらしていたし
普段穏やかな弟もどこかひやりと冷たく、後でわかったことですが、彼自身の問題を抱えていました。
 
個を強調するモランディの絵はぱっと見ただけでは癒されるものではありません。
その絵の周りを540度くらい廻らないと体は温まってきません。
 
弟は村上春樹の短編集を選びました。
中国行きのスロウボートという、私にとっては思い出深く懐かしい本です。
内向きになっているその日の弟にこれだけでは、と思って
古川日出男の「ベルカ、ほえないのか」と迷いましたが、森見登美彦の小説も添えました。
 
会社でスマイリ―君と呼ばれているらしく、一見人当たりの良い彼ですが
自分で作ったバランスのなかで今少し、窒息気味のようです。
 
たとえば、工学出の弟が描く図形は常に整っています。
丸をかきましょう、といったとき、見切り発車で手書きの丸をとりあえず書く私と
コンパスを用意して念のためトレース紙も用意してから書く弟、そんな違いです。
ふたつ、みっつと図形を重ねていけば、出来上がった図は全く違うものになります。
 
弟はおそらく、生活もそういう風に設計しているようです。
バランスどころか常にものごとの比重が崩壊した日常をおくる私からすると
彼の「はみ出さない」生活がなんともうらやましい限りですが
そして実際、弟も私のことを心配しているようですが、
自分自身の生活に対しては悩んでいるようです。
 
弟の思い出のかたわらにはいつも月があります。
生まれて初めて、私におぼろ月という言葉を使ったのはまだ8つか、9つの頃の弟でした。
彼が、こういう生き方をするようになったきっかけを私は知っています。
お姉さんは好きなように生きていいんですよ、と弟はいつも言いますが
私も彼に対して、本当はいつもそう言いたいのです。
先日の続きです。
物事は言葉にするたび純化されていくと書きました。
 200909301744000.jpg










ひとは、どのようにして言葉を書くのでしょうか。
緻密な思考も目をむくような発想力もない自分は
カメラ・オブスキュラとか雅歌とか光といったつまらないオマージュをつなぎ合わせて時をやり過ごしています。
偉人が残した名句ばかりでもアフォリズムだけでできた本は読んでいるうち飽きてくるのと同じで、
まるっきり生きていないようでそのうちいや気がさしてきます。

いや気がさしてくると、流れに杭を突き立てます。
引っかかったものを、丁寧にしわを伸ばすように広げていきます。
自分からは少し遠くにあった曖昧なものなので
デッサンを繰り返すように、何度も書きます。
書いてはけし、書いてはけして、太い線が浮きあがるまで続けます。
大抵そのとき、一人称がこなごなになるまで崩します。
できあがったもののほとんどは、行間でしかありません。
実際に今を生きる私とは似ても似つかない純粋なもの、規定するものになります。
それでも私は、いつ裏切られるかわからない緊張感も含め、言葉の不確実性を愛しています。
 
しばしば、ロダンの言葉が思われます。
 
* * * 
芸術において醜いこと、
それは
まがいもの、作為的なもの、
表現が伴わずに小ぎれいさや美しさを装うもの、
気取ったわざとらしいもの、
意味もなく笑うもの、
理由もなく恰好をつけたもの、
原因もなく形をねじまげこわすもの、
魂と真実とを欠く一切のもの、
美しさや、優雅さを誇示するにすぎないすべてのもの、
嘘をつく一切のもののことだ
* * *
 
こんな風に生きたい、というのではありません。むりむり。
人生は芸術ではないので、こんな風には生きられません。
まともに目を見れないままに嘘ばっかりつくし、照れ笑いもすれば、カッコつけたり気取ったりもします。
ただ言葉、自分が発する言葉にはこうあってほしいと思います。
雨だし寒いし、煮ものが恋しくなります。秋っていいな。

200910030907000.jpgサンドイッチはレタス、鳥ハム、トマト、ママレード
おかずは
・しらたきと野菜天の煮もの
・ねぎの卵やき
・カイワレのおひたし
・紅ショウガとかまぼこ
・サトイモの胡麻よごし
・にんじんの甘煮





200910031035000.jpg








この日はなんとなし、外で食べました。
お昼どき、そこで本を読むのが好きな喫茶店があります。
今日いくと、窓際の鉢植えが二つ三つふえていました。
200910021243000.jpg 







親指の爪ほどの小さな苗が鉢の真ん中に植わっています。


アンバランスな深い植木鉢は、これから根が張っていく植物への奥さんの心です。
コーヒーが来るのを待つ間、肘をついて目を近付けると
葉の表皮のみょうになまなましい細かなうぶ毛や赤い斑点がくっきりと見えます。
 
奥さんに尋ねると、大きくなった自宅の親株から、株分けして持ってきたそうです。
植物の名前を尋ねると、
知らないの、庭でいろいろと育てているのだけれど全然覚えられなくてと笑っていらっしゃいました。
根っこを大事にしておいてあげたらみんな元気に育つから
ともおっしゃっていました。
 
名前を知らないままに、いろいろの植物を育てる道を知っている奥さんのことを
すこしのあいだおもいました。
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プロフィール
HN:
ONSA
年齢:
44
性別:
非公開
誕生日:
1980/07/11
職業:
会社員
自己紹介:
冬も緑の葉っぱがしげる、東京都内の街路樹のしたを走る通勤模様を中心に、
自転車に関するヨシナシゴトを書いています。

たまに無謀なロングライドを試みては返り討ちにあっています。



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そのほか 、
・読書、音楽、映画、プラネタリウム
・絵や彫刻を見る。
・海とか河とかお寺にぶらっと行く。
・自然の中でしんとしていること。
・骨董やアンティーク家具。
・家具屋さん、雑貨屋さん、文房具やさんに行く。
・ごはんやお菓子を作ったり小さい編み物をしたりする。
・カフェを探す。
・道に迷う。
・なごなごする。


ことなどが好きなので、そういう話もできたらと思います。
自転車を愛するすべての人と、それからそのほかすべての皆さん、どうぞ仲良くしてください。
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