忍者ブログ
-love on the bike-
[30]  [28]  [26]  [25]  [24]  [23]  [22]  [21]  [20]  [19]  [18
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

生きていれば当たり前のことかもしれませんが、
どんな仕事でもそういう瞬間はあるのかもしれませんが、
仕事をしていると、ときに他人のむきだしの人生に触れることがあります。
 
がん、という病気があります。
乳がんなどで手術をして、リンパ腺をとると働きが悪くなり、
残ったリンパ腺がはれてしまうことがあります。
片側だけの足や腕が、2倍にも3倍にもなります。
http://www.asinotiryouin.com/lympha/effec.html
 
仕事で今日、そのリンパ浮腫になった乳がんの患者さんの声をききました。
「乳房を切除したうえにさらに腕がむくんで家事ができなくなってしまった
こんな自分は妻として役立たずで人間としてかたわです」
 
どんな生活を送ってきたか、とかどんな性格のひとか、とかそういうことは関係なく、
人が、がんを生きているだけで素晴らしいことであるはずのひとりの人が、こんなつらい心のままでいいのでしょうか。
ただただ、涙が出ます。
 
以前、ある看護婦さんが怒っていいました。
「がんという病気を、医療現場では体験ということがあります。がん体験、と。
がんは体験ですか?違います。患者さんにとってはがんはその人の人生そのものなんです」
 
そうなんです。
手術がそのとき終わっても、術後5年、生存したからということで
「成功した患者さん」として病院では分類されてしまっても
その人の人生はつづきます。
 
…実際の私は、私の書く文章ほどに純粋にはなれません。
医者の冷めた目線、たとえば、
「できないオーベンのせいでこの前急患が死んじゃってさ。
当直の○○はほんとに迷惑かけられてたよ」
なんていう言葉を聞いても、これだけ生と死が毎日繰り返されていたら、
なにかを鈍磨させておかないと仕方がないのかもしれない、
こんな風にどこかが少し壊れた発言をして、割り切っていかないと仕方がないのかもしれない
と考える自分がいます。
 
でもその一方で、やはり涙がでるのです。
怒りとも悲しみともちがう感情で涙が出ます。
こういうところが、私が文学に向いていない理由だと思います。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (管理人だけにコメントする。)
無題
「キセキ」と見ると「奇跡」「奇蹟」がまずうかびますが、
今日のテーマは「軌跡」に近いのでしょうか。

人の歩んだ軌跡、患者としてがんと闘った軌跡、
家族としてともにがんと向き合った軌跡、
医療の現場で死が日常となっている方の軌跡、
それらを含めて人生という名の軌跡。

その軌跡に触れると
怒りとも悲しみとも違う感情と書かれていますが、
それは多分、
悔しさとかやりきれなさのような感情で
涙が出てしまうのではないでしょうか。


文学に向いてない?
でも貴女の書かれる文章、
僕は、とても好きですよ。
七夕DIVER 2009/07/15(Wed)02:18:43 編集
そのキセキです
(文章を)好きといって下さって、ありがとうございます。
本当にうれしいです。

おっしゃるとおりで、悔しさ、やりきれなさ、それもあると思います。
でも怒りや悲しみもあります。
たぶん、一番近い感情は「患者さんの気持ち」だったと思います。
自分は客観的にものを見れない人間で、
この場合も、ただ患者さんの気持ちになろうとしてしまうのです。
(逆にお医者さんとその忙しすぎる職場体制、不条理な状況などの話をしていると
そっちに自分の気持ちが全部入りこんでしまいます)
他人とまったく同じ気持ちになることはできませんが、それでも
同じ気持ちになろうと心が動いてしまいます。

それが、文学に向いていないと思った理由です。
・・・でも、文学って、なんでしょうね(笑
あんこ 2009/07/15(Wed)17:03:00 編集
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新CM
[11/05  ]
[10/13 琳Papa]
[09/12 ピクサー]
[09/10 ONSA]
[09/08 bossa]
最新TB
プロフィール
HN:
ONSA
年齢:
43
性別:
非公開
誕生日:
1980/07/11
職業:
会社員
自己紹介:
冬も緑の葉っぱがしげる、東京都内の街路樹のしたを走る通勤模様を中心に、
自転車に関するヨシナシゴトを書いています。

たまに無謀なロングライドを試みては返り討ちにあっています。



※ ↑ ココマデ自転車 ↑ ※

そのほか 、
・読書、音楽、映画、プラネタリウム
・絵や彫刻を見る。
・海とか河とかお寺にぶらっと行く。
・自然の中でしんとしていること。
・骨董やアンティーク家具。
・家具屋さん、雑貨屋さん、文房具やさんに行く。
・ごはんやお菓子を作ったり小さい編み物をしたりする。
・カフェを探す。
・道に迷う。
・なごなごする。


ことなどが好きなので、そういう話もできたらと思います。
自転車を愛するすべての人と、それからそのほかすべての皆さん、どうぞ仲良くしてください。
バーコード
ブログ内検索
P R
アクセス解析
アクセス解析

Copyright © unmotored All Rights Reserved.
Material & Template by Inori
忍者ブログ [PR]