-love on the bike-
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書籍の電子データ化にたいして、危機感をうったえるおはなしです。
裁断サービスに対するやるせないきもち、
わたし以外にも感じる方はいらっしゃるでしょうか。
わたし以外にも感じる方はいらっしゃるでしょうか。
それともこの気持ちは、個人的な懐古趣味に過ぎないでしょうか。
たとえば、今では考えられないほど丁寧に作りこまれた昭和10年代の書籍を
裁断して電子データ化する勇気は、私にはありません。
その書籍が今そこに、その形であるだけで
内容とは別に無形の価値がうまれているからです。
内容とは別に無形の価値がうまれているからです。
また、ひとから大切にしている本を借り、
ページの隅が少し折られていたり、
鉛筆でそっと書き込みがしてあったりするのを見て
あのひと、ここで感動したのね、と思いをはせることができなくなる。。。
これは、少しくさみしくはありませんか。
こうした目に見えない価値と、感動は、
ゆらぎつづける現実のなかにしか存在しません。
毎日とおる道のはたに咲く草花に、ある日突然、世界を感じることがあるように
時々刻々と出会い続け、感じ続ける「ゆらぎ」、それがリアルの価値です。
この価値をふくめて再現できないかぎり、
電子書籍をはじめとするバーチャルの世界はどこまで行っても「再現」という
リアリティへの憧憬にすぎません。
そして「再現」である限り、ゆらぎつづけるリアリティを越えることはありません。
歴史とは繰り返されるものならば、今に似ている状況も、どこかで確かにあったはず。
たとえば絵画がリアリティを追求した時代。
たとえば写真が爆発的に広がった状況。
そう思えば、私の感じている不安とおぼつかなさも、少しは軽減されます。
10年前に叫ばれていた文学不要論もいつの間にか消えました。
必要なものならば残るはずと、信じたいです。
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BOOK3など、話題になっている世間さまに逆行し
グスタフ・マーラーの回想記なんかを読みました。
奥さんのアルマが書いたものです。
マーラーは20世紀初頭の作曲家、指揮者。
たくさん曲を書いた人。
天才肌で傍若無人、奇行も多く、自分を曲げない変な人。
奥さんのアルマは芸術一家に生まれ、自身も音楽の才能がある人。
でも結婚を機に作曲をやめ、ひたすらマーラーを支えます。
才気煥発がゆえに、その生活は徐々にアルマを苦しめたそうです。
* * *
「極端な子供っぽさ、徹底した無頓着ぶりは迷惑以上のものであった。
私は次第に劣等感にさいなまされる結果になっていった。
涙があふれそうでも我慢して陽気にふるまうことが多くなった。
彼に見せてはならなかった。
私はどこにいくにも、昔作った無数の歌をもって歩いていたが、
その包みは除くこともできない棺のようなものであった。
ある日、彼が思いがけない時間に帰宅したことがあって
私は泣いているのを見られてしまった。
理由を聞かれた。
そして、私の額に手を当てて
花開かざりし夢か、といった。」
* * *
大きく年の離れた2人で、
マーラーはアルマの未来に嫉妬し、
アルマはマーラーの過去(成したもの)に嫉妬していました。
しかしたいへん愛し合ったふたりでした。
アルマの陣痛の際、すこしでも痛みをやわらげるため
知恵を絞ったマーラーが思いついたのはなんと、
枕元で大声でカントを朗読することだったそうです。
「たしかに精神を集中させることは苦痛を和らげる。
ただ、こうした場合に読む本としてカントは適切でない。
難しくて何も分からない」
きまじめにそう綴りながら、マーラーに感謝するアルマなのでした。
また、ある時マーラーが
「今日はこんなものを失敬してきた」といって紙片をアルマに渡します。
その日指揮した楽譜の表紙に、
~日、この譜にて指揮す、というワーグナーの筆跡を見つけ
ワーグナーが好きなアルマの為にその表紙を切り取って持って帰ってきちゃったそうです。
ほのぼのなエピソードです。
しばらく時間があり、本ばかり読んでいます。
「世界のすべての7月」ティム・オブライエン
村上春樹の訳で読む。
彼の文体に久しぶりに触れたかっただけかもしれません。
10代の一番敏感な季節をともにした作家さんなので
今でも、読むと深いところをそっとなでてくれる感覚があります。
そう。なでるだけなのです。
その他者感覚と空っぽな文体に、当時こよなく親しみました。
音大で浜崎あゆみをやるようなものとからかわれながら卒論にしたものです。
物語にもどって、舞台はアメリカ。1969年度の卒業生の同窓会が2000年に開かれる。
ヴェトナム世代の、古今東西の悲喜こもごも。
後がきで、いつかこの本のような、60年代に青春を過ごした世代のクロニクルを書きたい
と言った村上春樹は今、なんだかそんな本で話題になっているようです。
と言った村上春樹は今、なんだかそんな本で話題になっているようです。
「少し変わった子あります」森 博嗣
1時間くらいで終わりました。
「女王の百年密室」同上
2時間くらいで読み飛ばしました。
森博嗣は初めて読みました。
書店でずらっと並んだタイトルがどれも面白く、気になっていたのですが、
読んだ感じ、一番おもしろい部分はタイトルでした。
私が総じてミステリーが苦手なのがいけないんだと思います。
彼を紹介する書店側が「ミステリィ作家」と表記するのもちょっと苦手です。
1冊目のほうは、ジャズとか好きな20代後半の男性が手持無沙汰の夜にお酒飲みながら読むにはよいかもしれません。
「海からの贈り物」アン・モロウ・リンドバーグ
すべての女性に読んでいただきたい本です。
愛する女性がいるすべての男性にも。
よかったら。
できれば最後まで。
訳は、ヴァレリーでおなじみの吉田健一です。
今年は自転車と勉強をとります、恋愛と仕事は捨てます、と言っておきながら、
いざ何もないと、やっぱりかなしいものです。
会社は、なかなかやめさせてもらえない状況です。
恋愛はもっと悲惨です。
もっともこちらは、ときに自分も悪いです。
「週末あいてる?」
「すみません、(自転車のりたいので)ちょっと忙しいかもしれません」
「夜も空いてない?」
「ほんとにすみません、(乗った後なのでたぶん爆睡してます)」
みたいな。
しかも空いてないの今週だけやないからね。来週も再来週もずっとずっとやからね。
先日など、滅多にないことですがお誘いをいただいたのに
待ち合わせ場所まで自転車で行ったら若干ひかれました。
近かったのでつい。
あるローディさんが、自転車やってる女性やだな、って笑いながらおっしゃってて
自意識過剰ですが、ちょっとしょんぼりしました。
私もヤデス。
自転車のってるときだけは、しばしば、男だったらよかったなって思います。
でも自転車やってないときは、女でよかったなって思います。
【おまけ:読書メモ】
気になった言葉をそれぞれの本から書きぬいておきます。
「ムッシューテスト」
・わたしは、正確を目指すという急性の病に冒されていた
・わたしにとって容易なものはすべてどうでもいい、というかほとんど敵だった。努力感こそが認められるべきだと思えていた
・書くという行為は常に、ある種の「知性の犠牲」を要求する
・彼が話しだす、するとこちらは彼の考え方のなかに引き込まれて、いろいろな事象と一体化してしまう感じがする。かれこそはみずからの思考の支配者だ
・崇高なるものは連中を単純化する。断言してもいい、彼らの思考はそろって次第に同じことがらのほうへ向かっていき、やがては危機だか共通の限界だかを前にひとしなみに並ぶことになるのさ。
「アヒルと鴨のコインロッカー」
特に書き出したいことなし。この人の本はちょっと、どれも合わない。
「行人」
・俺は昔から自然が好きだが、つまり人間と合わないのでやむを得ず自然の方に心を移すわけなんかな。
・親しいというのは、ただ仲がいいという意味ではありません。和して収まるべき性質をどこか相互に分担して前へ進めるという意味です。
・keine brucke fuhrt von mench zu mensch
・透き通る秋の空を眺めてああ生き甲斐のある天だといって嬉しそうに真っ青な頭の上を眺めた
「沖で待つ」絲山秋子
134回の芥川賞。特別好き、というわけではないですが気になる作家さんの一人です。
川上弘美とかがすきなかたにはお勧めかもわかりません。
のんびりしてて一見頼りなくて、しゃっきりした奥さんを貰った男性が亡くなった後、残した詩が
こんな感じです。
俺は沖で待つ。
小さな船でおまえがやってくるのを。
俺は大船だ。
なにも恐ろしくないぞ。
港じゃなくて、沖でまつ、というのがいいですね。
「夢十夜」夏目漱石
ひさかたぶりに読みました。におい立つような言葉遣いがやっぱりすきです。
小さいころ、母が音読してくれた本です。
アンデルセンの「幸福な王子」と、稲垣足穂「一千一秒物語」もすきです。
おまけ:近所の10円ショップ
おまけ:近所の10円ショップ
無人で、おかねは空き缶に入れるようになってます。
画面真ん中あたりのクワガタのおもちゃを買おうかどうしようか、
もう1ヶ月くらい迷っています。
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プロフィール
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ONSA
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44
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非公開
誕生日:
1980/07/11
職業:
会社員
自己紹介:
冬も緑の葉っぱがしげる、東京都内の街路樹のしたを走る通勤模様を中心に、
自転車に関するヨシナシゴトを書いています。
たまに無謀なロングライドを試みては返り討ちにあっています。
※ ↑ ココマデ自転車 ↑ ※
そのほか 、
・読書、音楽、映画、プラネタリウム
・絵や彫刻を見る。
・海とか河とかお寺にぶらっと行く。
・自然の中でしんとしていること。
・骨董やアンティーク家具。
・家具屋さん、雑貨屋さん、文房具やさんに行く。
・ごはんやお菓子を作ったり小さい編み物をしたりする。
・カフェを探す。
・道に迷う。
・なごなごする。
ことなどが好きなので、そういう話もできたらと思います。
自転車を愛するすべての人と、それからそのほかすべての皆さん、どうぞ仲良くしてください。
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