-love on the bike-
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嫌いなお酒の席は、合コンと接待です。理由はひとつだけです。
自分に自信がないのです。
仕事中、しれっとしてるとか生意気とかまま言われるのですが
気を張ってないとすぐにふにゃふにゃしちゃうなだけなのです。
先日、お世話になっている先生が来京され、一人で接待することになりました。
以前から一度はスペイサイドにお連れしたいと思っていた方でした。
店長さんにお願いしたところ、たまたまその日は月にたった一日の店休日でしたので
渋谷のシノワというお店に行くことにしました。
すると店長さんは、カリフォルニアワインがお好きというその先生のために
もう手に入らないというRIDGEのLYTTON SPRINGS 2005を、くださったのです。
もともとそのワインを持っていたお客さんと自分が顔見知りというのもありますし、
先生と自分がちょっと大変だったとき、
スペイサイドで一人でへこんでいた経緯があったのは、確かにあったのですが
代金も受け取っていただけないまま、ただただ感謝するばかりでした。
当日、両手で抱えて持っていくと、先生は身も世もないくらい喜んでくださいました。
シノワは本当に素晴らしい接客をしてくださいました。
先生のご趣味をお話しして丸投げしたところ
カウンターでもないのにソムリエの方がずっとついてくださり、予想の一歩先をいくサービスをしてくださいました。
ワインに詳しい先生のまるっきり言いなりにもならず
かといって気分を害されるようなことを言うわけではもちろんなく
これはいいものを知ったよ、と言っていただけたコースを組み立ててくださいました。
当日、突然、ご子息をお連れになったのですが、
混んでいる中、先生の予定がずれて
二時間空席にしておいてくださったカウンターに座れなくなったのにも嫌な顔一つされず
二時間空席にしておいてくださったカウンターに座れなくなったのにも嫌な顔一つされず
前から準備してあったかのようにテーブルに案内してくださいました。
サンマ、戻りガツオ、マコモダケ、牛肉、卵、などなど、てんでバラバラにオーダーされたのですが
色々な国の、色々な風味のワインを上手にあわせて、最後にフレッシュでふくよかな白でまとめてくださいました。
デザートがいらない、余韻の残る終わらせ方でした。
今思い出しても恐ろしいことに、当日手持ちが2000円くらいなのにキャッシュが下せず
お金が足りなくなってしまう大失敗がありましたが、
先生が、生活に困ってるわけでもあるまいし、と支払ってくださいました。
ここまで書いて思いましたが、接待ではないですね。
みんなに優しくしてもらえてうれしかった、という日記でした。
先生と、スペイサイドと、シノワに感謝しています。
近いうち、シノワはもう一度来店してお礼したいと思います。
近いうち、シノワはもう一度来店してお礼したいと思います。
台風の日、久しぶりに地下鉄を利用しました。
ホームへ続く階段を下りていると、中腰になったスーツ姿の男性とすれちがいました。
目で追うとその人は、中腰のままゆっくりと1段登っては2段降り、
何かを探しているようでした。
つられて立ち止まると、すぐにわかりました。
赤トンボが1匹いるのでした。
地面すれすれを飛びながら一段分、ようやくのぼったかと思うと
強く吹き下ろす風にあおられ、さきより一層低いところまでたたきつけるように落とされます。
荒天のせいで、外から地下鉄に入り込む風はいつもより一層きつく激しいのです。
トンボはどんどん落ちていき、スーツの男性は中腰のまま、
そのトンボを追いかけてじりじり、階段を下りていきます。
私のほか、誰も立ち止まる人はいません。
男性がとらえようとするたび、トンボはいっそう大きく飛んで
強い風を真っ向から受け、さらに下に落ちていきます。
繰り返すうち、男性の手をかわしたトンボは、いきなり、つっと進路をかえて、
そのままホームに降りて行き、線路が延びる真っ暗な地下鉄の奥へ消えていってしまいました。
先週の満月は秋らしい見事なものでした。三渓園の観月会に行きそこねました。
不謹慎でしょうが、台風の前に月が満ちてよかったです。
そう、先週は弟の誕生日でした。
プレゼントを選ぼうと、店に入るまえ、
弟は空をみて、今年も月が見れてよかったです、といいました。
追って見上げると満月がかかっていました。
去年の誕生日も満月の頃お祝いしましたが、その時は火星のような真っ赤な月でした。
今年の月は青白く、モランディの静物画をほうふつとさせました。
その日は2人とも、少し冷たい空気でした。
感情過多な私は理由のわからない波にとらわれて少しいらいらしていたし
普段穏やかな弟もどこかひやりと冷たく、後でわかったことですが、彼自身の問題を抱えていました。
個を強調するモランディの絵はぱっと見ただけでは癒されるものではありません。
その絵の周りを540度くらい廻らないと体は温まってきません。
弟は村上春樹の短編集を選びました。
中国行きのスロウボートという、私にとっては思い出深く懐かしい本です。
内向きになっているその日の弟にこれだけでは、と思って
古川日出男の「ベルカ、ほえないのか」と迷いましたが、森見登美彦の小説も添えました。
会社でスマイリ―君と呼ばれているらしく、一見人当たりの良い彼ですが
自分で作ったバランスのなかで今少し、窒息気味のようです。
たとえば、工学出の弟が描く図形は常に整っています。
丸をかきましょう、といったとき、見切り発車で手書きの丸をとりあえず書く私と
コンパスを用意して念のためトレース紙も用意してから書く弟、そんな違いです。
ふたつ、みっつと図形を重ねていけば、出来上がった図は全く違うものになります。
弟はおそらく、生活もそういう風に設計しているようです。
バランスどころか常にものごとの比重が崩壊した日常をおくる私からすると
彼の「はみ出さない」生活がなんともうらやましい限りですが
そして実際、弟も私のことを心配しているようですが、
自分自身の生活に対しては悩んでいるようです。
弟の思い出のかたわらにはいつも月があります。
生まれて初めて、私におぼろ月という言葉を使ったのはまだ8つか、9つの頃の弟でした。
彼が、こういう生き方をするようになったきっかけを私は知っています。
お姉さんは好きなように生きていいんですよ、と弟はいつも言いますが
私も彼に対して、本当はいつもそう言いたいのです。
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プロフィール
HN:
ONSA
年齢:
44
性別:
非公開
誕生日:
1980/07/11
職業:
会社員
自己紹介:
冬も緑の葉っぱがしげる、東京都内の街路樹のしたを走る通勤模様を中心に、
自転車に関するヨシナシゴトを書いています。
たまに無謀なロングライドを試みては返り討ちにあっています。
※ ↑ ココマデ自転車 ↑ ※
そのほか 、
・読書、音楽、映画、プラネタリウム
・絵や彫刻を見る。
・海とか河とかお寺にぶらっと行く。
・自然の中でしんとしていること。
・骨董やアンティーク家具。
・家具屋さん、雑貨屋さん、文房具やさんに行く。
・ごはんやお菓子を作ったり小さい編み物をしたりする。
・カフェを探す。
・道に迷う。
・なごなごする。
ことなどが好きなので、そういう話もできたらと思います。
自転車を愛するすべての人と、それからそのほかすべての皆さん、どうぞ仲良くしてください。
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